近辺雑記

梅棹忠夫さんの死

7月3日、人類学者で、国立民族学博物館の創設者だった梅棹忠夫さんが亡くなった。90歳で老衰というから、大往生だ。だけどわたし個人としてはとてもさびしい。 梅棹さんを最初に知ったのは、探検部つながりだった。梅棹さんは日本の大学の探検部の先駆で…

ボルト、ドーピング大丈夫か?

陸上男子百メートル決勝でボルト(ジャマイカ)が9秒69の世界新で初の金メダルをとった。身長196センチ、体重86キロの肉体を生かした大きなストライドで、最後の20メートルを流し、両手を広げ、胸をたたいてフィニッシュした。にもかかわらず、自…

勝ちに徹した石井慧、理想で負けた塚田真希②(日本「柔道」から世界の「Judo」へのコペルニクス的転換)

日本古来の「柔道」は、一本勝ちに徹底的にこだわってきた。どんなにポイントで有利になっていても、最後まで一本勝ちにこだわる。最近の選手で言えば、井上康生や鈴木桂治の柔道スタイルである。彼らの柔道は見ていてすがすがしいし、美しい大技が決まれば…

勝ちに徹した石井慧、理想で負けた塚田真希①(日本「柔道」から世界の「Judo」へのコペルニクス的転換)

柔道最終日に、男子100キロ超級で日本の石井慧(国士舘大学)が、危なげない柔道で優勝した。 石井慧は勝ちに徹していた。一本勝ちを狙うというよりも、したたかな計算で勝つ柔道に徹していた。初戦から決勝までの戦いで、リスクのある大技は少なかった。…

人事異動の季節におもう

3月は人事の季節だ。 一定規模以上の組織ならだいたい人事異動があるから、そこに勤めるサラリーマン達はこの時期に矢継ぎ早に発令される人事に、それこそ一喜一憂する。行きたい部署がある人は、思い通りの部署に行けるかどうかヤキモキする。上司や部下と…

元旦と日本経済新聞

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年こそは自分自身もっと成長したいです。 さて元旦を迎えましたね。元旦といえば、この7年間元旦に実践していることがあります。些細なことと言えばそれまでですが、それは日本経済新聞の元…

ダウンタウンとの出会い

ダウンタウンとの出会いは高校生のときだった。 高校2年生くらいだったと思う。わたしの家は夕食時にテレビが付いていることが多く、その日も何気なく家族でテレビを見ていた。「ダウンタウンのごっつええ感じ」という番組が流れ、その中の一つのコントにわ…

組織改革にあたっての雑感

組織改革について雑感を短文にまとめたので、ここに公開する。 まず大前提として、この手の「組織改革」というものは何のためにやるかが重要であり、それをまず明確にすることが必要となります。目標像の設定です。 そして目標像は、「組織の秩序ある運営」…

民主党よ、驕るなかれ

安倍首相の自滅に際しての、民主党のおごった雰囲気が気になる。その象徴的な存在が鳩山由紀夫幹事長だ。安倍首相の辞任表明を受けた直後の民主党ミーティングで、挨拶にたった鳩山氏は、同僚のチャチャに苦笑いを浮かべ、せせら笑った。本当に数秒の出来事…

安倍晋三首相の辞任報道にふれて(マキャベリズムの観点から)

安倍晋三首相が辞任を表明した。所信表明演説をしたばかりというこのタイミングの辞任に批判が相次いでいる。首相の所信表明演説というのは私風にいえば「頑張ってやりまっせ宣言」であり、「さてこれから!」というこのタイミングで辞めるのは、あまりに間…

アイデア閃きに関する脳生理学的考察

森の現場を歩いているとき、車で現場まで移動しているとき、ハッと閃く瞬間がある。ポアンカレの言葉を使えば、「突然天啓がくだった如くに考えがひらけて来る」という状態である。仕事のアイデアはもちろんのこと、体験したあのケースはアカデミックに位置…

佐藤優「獄中記」を読んで獄中生活について考えた

佐藤優「獄中記」を読んだ。書評については次の機会に譲るが、今日は佐藤氏の体験した獄中生活に対しての所感を書いてみたい。 本書を読み終えて、率直に、獄中生活も悪くないな、と思った。佐藤氏のような獄中生活を送れるのであればわたしもやってみたいな…

NHK「その時歴史が動いた」を見て人間の忘却性について考えた

先日、NHKの番組「その時歴史が動いた」の「中国と国交を回復せよ〜足利義満の日明外交〜」の再放送を見た。 内容は、室町幕府・三代将軍の足利義満の日中国交回復の取り組みを描いたものであった。足利義満は、100年前の蒙古襲来の侵略のトラウマが日本…

一つの妖怪が世界を徘徊している、――グローバリゼーションの妖怪が。

一つの妖怪が世界を徘徊している、――グローバリゼーションの妖怪が。 この言葉はもちろん有名なマルクスの言葉「一つの妖怪がヨーロッパを徘徊している、――共産主義の妖怪が」(共産党宣言)をもじったものである。マルクス主義とグローバリゼーションが関係…

本日の一言(作家・渡辺淳一 北海道へ)

「札幌の人口は180万人を超え、全国十大都市の一つである。だが、その実態は、道内各地から流入してきた人口を吸収しただけで、巨大な消費都市に過ぎない。」 「・・・(福岡は近隣の元気な拠点都市をもち、沖縄、台湾、韓国、中国と交流するネットワークを…

凡人という名の努力の天才(NHKプロフェッショナル・石井裕氏の回を見て)

NHKのプロフェッショナルという番組を見た。この番組は、さまざまな分野でいま先頭を走っている人たちを現在進行形で追い、そのプロフェッショナリズムから学ぶという内容で、ときどき面白い人が登場する。今回もそうだった。 今回の主人公は、アメリカの大…

フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで浅田真央ら日本選手活躍!

ロシアのサンクトペテルブルクで開催されている、フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルをついつい見てしまった。女子のショートプログラムで、浅田真央が69.34点の高得点で首位。安藤美姫、韓国のキム・ヨナと続く展開となった。 フィギュ…

毛沢東の評価―司馬遼太郎のリーダー論を援用して

山崎豊子著「大地の子」に感動した余波で、中国の文化大革命に興味を覚え、いくつか文献を読んできた。文化大革命は1960年代後半から1970年代前半の中国で席巻した権力闘争および内戦状態のことだが、文革の内実を知れば知るほど、それは毛沢東問題であると…

わたしの幸せ論

世は渇望の時代である。 現代において人々は、欲望をむき出しにし、求め、策略を練り、争いながら生きている。あたかも欲望を満たすことが人生の目的であるかのように。前ライブドア社長の堀江貴文氏の「金で買えないものはない」という発言は、その発言が妥…

学会で事例報告とパネルディスカッションをした

北海道の胆振支庁のとある町で開かれた、森林関係者の研究会に参加し、事例報告とパネルディスカッションをした。この研究会は大学などの研究者が主体のイベントであるが、当日は行政関係者も多く集まり、100人を越える規模で熱気がある中での学会となった。…

本日の一言(案ずるより産むが易し)

昨日、職場に行くまでは憂鬱だった。飛び込みのトンデモ案件が一昨日にはいって、それをどう処理するか、職場で決めなければいけなかったからだ。トンデモ案件なので処理の仕方はひとつだったのだが、そのように行くか不安で、前の晩の夜からあれこれ心配し…

怒り

今日は本当に悪い日だった。 仕事上で付き合いのある機関から調査ものの書類がきていたのだが、これが非常にめんどくさいシロモノだった。この忙しい時期に調査ものが来ること自体心中穏やかでないのに、それがとても手間がかかる内容だったから、余計に腹立…

わたしの組織嫌い

わたしは組織に属して働いている者だが、考えてみると、わたしほど組織を嫌悪し、バカにしている人間もすくないかもしれない。とにかく組織の論理というのが嫌いなのだ。これは論理を越えて、わたしの実存に基づくものである。 1 年功序列型人事の弊害 たと…

朝の日差しが昇り始めた空から

ケツメイシの2005年の傑作アルバム「ケツノポリス4」のなかに「朝日」という曲があり、そこのサビはこんな歌詞になっている。 朝の日差しが昇り始めた空から 君が目覚めた時から 始まるよ 今日一日の中で 朝の日差しが昇り差し込む窓から 君が気づいた時から…

原稿執筆と井上陽水

あるプロジェクトで長文の原稿を書かねばならない。執筆に追われているため、ブログ更新が滞っている。それにしてもこれだけの長文を書くのは久しぶりだ。短文ならいくつかの媒体にしこしこと書いてきたが、これだけの長文は、そう、修士論文いらいかもしれ…

新年のご挨拶と本日のひとこと(酒と女と歌を愛さぬ者は一生の間バカのまま)

あけましておめでとうございます。 今日は、好きな写真家でありエッセイストであった星野道夫さん風に文章を書いてみます。 北海道東武地域は、朝の冷え込みが厳しく、マイナス10度を前後するような日が続いています。札幌に9年近く住んでいましたが、札…

わたしたちが生きていくということ(経済学におけるトレードオフ)

1 自然に詳しいSさんのこと わたしの友人のSさんは地域の自然ガイドをやっており、地域の植物・動物について異常に詳しい。しょっちゅう地域を歩いているので、木本・草本や野鳥の判別はもとより、「今、どこどこで何が咲いているよ」とかのプチ自然情報も…

林業はつらいよ

昨日、農家回りで造林事業の推進をしていたら、一人の農家にドキッとすることを言われた。 「お前、そりゃ森の公益的機能は分かるけど、やっぱり少しくらいはカネにならないと魅力はないわな」 森林管理の仕事に携わる者として、この指摘が一番つらい。フー…

本日の一言(十で神童,十五で才子,二十歳過ぎればただの人)

むかしの人はなかなかスルドいことを言うものだ。この言葉を聞いて、ドキッとする人も多いはずだ。この言葉は、10歳で神童と呼ばれた地域の天才君も、中学、高校、大学、社会人と、広い世界に飛び出すに従って、普通の人になって埋もれてしまうという意。 こ…

本日の一言(人生と友について)

先日、久しぶりに大学時代の友人と会った。 わたしは学生時代に沖縄のエイサー踊りに打ち込んでいた時期があり(2年弱の短い期間だが)、今回会ったのもそのサークルの面々だった。このサークルは、札幌でエイサー踊りに興味を持った人たちの集まりで、祭り…