ダウンタウンとの出会い

 ダウンタウンとの出会いは高校生のときだった。
 高校2年生くらいだったと思う。わたしの家は夕食時にテレビが付いていることが多く、その日も何気なく家族でテレビを見ていた。「ダウンタウンのごっつええ感じ」という番組が流れ、その中の一つのコントにわたしは釘付けとなった。それは「挑戦者」というタイトルのコントだった。
 ボクシングの世界タイトル戦のリングが舞台で、チャンピオンの日本人(東野幸治)の紹介のあと、アフリカ人みたいな黒人挑戦者(松本人志)が紹介される。リング司会(浜田雅功)が紹介する。「ヒヤキポリネキセサナモベ共和国出身、ピヒョリレーナリ・ボリリレン!」そして国歌の斉唱だが、この共和国の国歌が松本人志らのアカペラで、むちゃくちゃなリズムでいろいろな奇声を張り上げるだけのモノ。「いたたたたた、いたい」「あーーん、あーーーん」とかとにかく奇声には意味がない。国歌のむちゃくちゃさにチャンピオンの東野は数度抗議をするが、聞き入れられない。
 ただこれだけの内容と言ってしまえばそれまでだ。
 しかしわたしは、国歌演奏をアカペラの奇声でやってしまう、という斬新な発想に度肝を抜かれた。国歌といえば、重厚な伴奏と規律正しいメロディがつきものだ。このわれわれの固定観念を一気に崩してしまう松本人志の発想力。ボクシングのリング上という神聖な場を設定して、画面空間に十分に緊張感を与えておいて、歌の中で徐々に崩していくその構成力。何もかもが新鮮で、とにかく椅子から落ちそうになりながら笑いまくった。そしてこのコントを作った松本人志という芸人を、鮮烈な印象で記憶した。
 この日からわたしはダウンタウンの熱狂的なファンになった。
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