池井戸潤「ロスジェネの逆襲」(​文春文庫)

​ 数年前に一世を風靡したドラマ「半沢直樹」。
 だけどドラマも見てないし、半沢直樹シリーズの本を読んだのも初めて。
 流行りのものは遠ざける質なので。

 しかし本書は面白く、一気に読んだ。

 銀行員の主人公・半沢直樹は、系列子会社の証券会社に左遷させられた。そこで、親会社の銀行の横暴を目の当たりにし、出身行との対決を決意する。
 系列親会社と子会社の有無を言わせない上下関係。銀行と融資先の企業との上下関係。いや、好調な企業には平伏低頭し、落ち目の企業は徹底的に見下す銀行のしたたかさとおごり。「カネこそ権力の源泉」と言わんばかりに。

​ なぜ組織は腐敗するのか。​
​ 「みんな自分のために仕事をしている。そういう仕事は、内向きで卑屈で、身勝手な都合で醜く歪んでいく。」​

 どういう姿勢で仕事に臨むべきなのか。
 「正しいことを正しいと言えること。世の中の常識と組織の常識を一致させること。ただそれだけ」

 働くサラリーマンを応援する不屈の書といえる。