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佐藤優「獄中記」を読んで獄中生活について考えた

佐藤優「獄中記」を読んだ。書評については次の機会に譲るが、今日は佐藤氏の体験した獄中生活に対しての所感を書いてみたい。 本書を読み終えて、率直に、獄中生活も悪くないな、と思った。佐藤氏のような獄中生活を送れるのであればわたしもやってみたいな…

NHK「その時歴史が動いた」を見て人間の忘却性について考えた

先日、NHKの番組「その時歴史が動いた」の「中国と国交を回復せよ〜足利義満の日明外交〜」の再放送を見た。 内容は、室町幕府・三代将軍の足利義満の日中国交回復の取り組みを描いたものであった。足利義満は、100年前の蒙古襲来の侵略のトラウマが日本…

一つの妖怪が世界を徘徊している、――グローバリゼーションの妖怪が。

一つの妖怪が世界を徘徊している、――グローバリゼーションの妖怪が。 この言葉はもちろん有名なマルクスの言葉「一つの妖怪がヨーロッパを徘徊している、――共産主義の妖怪が」(共産党宣言)をもじったものである。マルクス主義とグローバリゼーションが関係…

内藤国夫「悶死―中川一郎怪死事件」

悶死―中川一郎怪死事件内藤 国夫 草思社 1985-02売り上げランキング : 57409Amazonで詳しく見る by G-Tools 「北海のヒグマ」と呼ばれ圧倒的な存在感を残し、1983年に死去した中川一郎元農相についてのルポルタージュである。中川一郎氏の死去をめぐる疑惑に…

佐藤優「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」再読

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて佐藤 優新潮社 2005-03-26売り上げランキング : 92おすすめ平均 上四半期最大の収穫の1つ最高「国家の罠」を暴露した書物Amazonで詳しく見る by G-Tools 本書については2年ほど前に書評を書いているが(国家の罠)、…

流域管理、環境ガバナンスを動かしていくためにはどうすれば良いのか

1 地域の自然資源管理の課題 先日の書評、佐藤優「自壊する帝国」において、わたしは佐藤氏の発言を引きながら、「部局間の仕事の重複」=「仲が悪くなる」という定式を重複悪化説と呼び、北海道の自然資源管理の事例と絡めて議論した。その流れで、日本の…

佐藤優「自壊する帝国」

自壊する帝国佐藤 優 おすすめ平均 人と交わること『国家の罠』以前に何があったか素晴らしい本だが、警戒しながら読んでほしい日本には希薄な「地政学」および政治と宗教、民族学の着眼がここにあるラスプーチン青春記Amazonで詳しく見る by G-Tools 間違い…

「新版 北海道の歴史(下)」

1 林務畑出身の北海道知事の二人 北海道は不思議な政治風土を持っている。伝統的に社会党系(革新系)が強い傾向があったし(最近は徐々に保守化しているかもしれないが)、北海道知事の系統を見ていっても不思議な流れがある。たとえば初代民選知事の田中…

本日の一言(作家・渡辺淳一 北海道へ)

「札幌の人口は180万人を超え、全国十大都市の一つである。だが、その実態は、道内各地から流入してきた人口を吸収しただけで、巨大な消費都市に過ぎない。」 「・・・(福岡は近隣の元気な拠点都市をもち、沖縄、台湾、韓国、中国と交流するネットワークを…

夏目漱石「坊っちゃん」

坊っちゃん夏目 漱石 おすすめ平均 果たして坊ちゃんは敗退したのか??不器用でもすがすがしい青春小説誇り高き益荒男ぽっかりと哀しいAmazonで詳しく見る by G-Tools むかし流行った歯磨き粉の宣伝で、芸能人の東幹久と高岡早紀が共演し「芸能人は歯が命」…

理解社会学について

マックス・ヴェーバーの概念整理のつづき。今日は理解社会学という方法論を考えたい。 理解社会学とは、わたしの理解でいえば、社会を動かすのはそれを支える個々人の内面的な動機づけだという問題意識のもと、個々人の内面的な動機(倫理観や道徳観)にスポ…

価値自由(Wertfreiheit)と理念型(Idealtypus)について

昨日、社会学の泰斗・マックス・ヴェーバーについて触れたが、わたしの知的好奇心が刺激されたこともあり、彼の提唱した概念について、ここに整理しておきたい。もちろんわたしは今は研究者ではないので、ここで新しい解釈に挑戦したいとか思っているわけで…

山之内靖「マックス・ヴェーバー入門」

マックス・ヴェーバー入門山之内 靖 おすすめ平均 評価は難しい。ニーチェ・ファンにも勧めたい師に反逆!ラディカルな問題提起を行った好著「近代」批判者としてのウェーバーAmazonで詳しく見る by G-Tools1 社会学の泰斗・ヴェーバー 理解社会学、理念型…

凡人という名の努力の天才(NHKプロフェッショナル・石井裕氏の回を見て)

NHKのプロフェッショナルという番組を見た。この番組は、さまざまな分野でいま先頭を走っている人たちを現在進行形で追い、そのプロフェッショナリズムから学ぶという内容で、ときどき面白い人が登場する。今回もそうだった。 今回の主人公は、アメリカの大…

手嶋龍一,佐藤優「インテリジェンス 武器なき戦争」

インテリジェンス 武器なき戦争手嶋 龍一 佐藤 優 おすすめ平均 事実と論理と闇の世界情報戦の底深さ並みのスパイ小説なんかより100倍面白い! さすがにプロフェッショナル外交や事件の裏が分かる本Amazonで詳しく見る by G-Tools 日本最高水準の外交専門家…

日本の経済政策はいかにあるべきか(安倍政権とトリクルダウン理論)

安倍晋三政権の打ち出した税制改正が、「大企業寄り」と批判を集めている。特に大手メディアは、企業に優しくて庶民に厳しい安倍晋三というラベリングで新政権を批判をしたがっている。格差社会というキーワードが大きく社会問題となるなかで、労働者や庶民…

フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルで浅田真央ら日本選手活躍!

ロシアのサンクトペテルブルクで開催されている、フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルをついつい見てしまった。女子のショートプログラムで、浅田真央が69.34点の高得点で首位。安藤美姫、韓国のキム・ヨナと続く展開となった。 フィギュ…

鈴木宗男,佐藤優「北方領土『特命交渉』」

北方領土「特命交渉」鈴木 宗男 佐藤 優 おすすめ平均 「自壊する帝国」に続き再び唖然。「本当の悪」とは何かを皆でよーく考えよう!!鈴木宗男のグローバルな外交感覚に驚きAmazonで詳しく見る by G-Tools 毒を盛られた疑いで重体となっていた元ロシア連邦保…

毛沢東の評価―司馬遼太郎のリーダー論を援用して

山崎豊子著「大地の子」に感動した余波で、中国の文化大革命に興味を覚え、いくつか文献を読んできた。文化大革命は1960年代後半から1970年代前半の中国で席巻した権力闘争および内戦状態のことだが、文革の内実を知れば知るほど、それは毛沢東問題であると…

産経新聞「毛沢東秘録」

毛沢東秘録〈上〉産経新聞「毛沢東秘録」取材班 産経新聞ニュースサービス 1999-09売り上げランキング : 457725おすすめ平均 文革を巡る想像を絶する権力闘争ドラマ難しいけどわくわくしますAmazonで詳しく見る by G-Tools毛沢東秘録〈下〉産経新聞「毛沢東…

ロブ・ライナー監督,リバー・フェニックス「スタンド・バイ・ミー【日本語吹替版】」

スタンド・バイ・ミー【日本語吹替版】スティーブン・キング ロブ・ライナー ウィン・ウィートン ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 1998-07-24売り上げランキング : 20752Amazonで詳しく見る by G-Tools 郷愁。古い友だちの顔。あの頃への憧れ。何度…

猪瀬直樹「道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日」

道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日猪瀬 直樹 文藝春秋 2003-11-13売り上げランキング : 50919おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools 小泉政権の改革の初期のシンボルだった道路公団民営化をめぐるドラマ。民営化委員会の委員だった猪瀬直樹氏が、…

李志綏,新庄哲夫「毛沢東の私生活〈上・下〉」

毛沢東の私生活〈上〉李 志綏 新庄 哲夫 文藝春秋 1996-12売り上げランキング : 54873おすすめ平均 もうひとつの「現代中国史」の資料としてこんなに面白い本はない単に毛沢東の私生活暴露というだけではなく、中国理解に有用。毛沢東の私生活Amazonで詳しく…

わたしの幸せ論

世は渇望の時代である。 現代において人々は、欲望をむき出しにし、求め、策略を練り、争いながら生きている。あたかも欲望を満たすことが人生の目的であるかのように。前ライブドア社長の堀江貴文氏の「金で買えないものはない」という発言は、その発言が妥…

山崎豊子「大地の子(1)〜(4)」

大地の子〈1〉山崎 豊子 おすすめ平均 日本人としてぜひ読んで欲しい一冊『知らない』罪中国残留孤児感動の一作です骨太のテーマと精緻な取材力に圧倒されますAmazonで詳しく見る by G-Tools 文化大革命という近代中国最大の汚点を舞台に、日本人残留孤児の…

学会で事例報告とパネルディスカッションをした

北海道の胆振支庁のとある町で開かれた、森林関係者の研究会に参加し、事例報告とパネルディスカッションをした。この研究会は大学などの研究者が主体のイベントであるが、当日は行政関係者も多く集まり、100人を越える規模で熱気がある中での学会となった。…

鈴木宗男「闇権力の執行人」

闇権力の執行人鈴木 宗男 おすすめ平均 官僚支配打破こそが改革の本丸!小泉政治の腐敗に絶望させられる本恐るべき野党議員の誕生権力闘争の恐ろしさ面白かったAmazonで詳しく見る by G-Tools 前書「反乱」がどこか奥歯にものが詰まったような物言いだったの…

山崎豊子「白い巨塔〈第4,5巻〉」

白い巨塔〈第4巻〉山崎 豊子 新潮社 2002-11-20売り上げランキング : 86025おすすめ平均 医者とは「なんて奴」と思うのだが白い巨塔(4)Amazonで詳しく見る by G-Tools白い巨塔〈第5巻〉山崎 豊子 新潮社 2002-11売り上げランキング : 84900おすすめ平均 Am…

山崎豊子「白い巨塔(第1〜3巻)」

白い巨塔〈第1巻〉山崎 豊子 新潮社 2002-11売り上げランキング : 14421おすすめ平均 創作と人命医者とは…財前の生き方に共感を得られる読者も多いのではAmazonで詳しく見る by G-Tools 国立大学の医学部を舞台に、スター教官の財前五郎が、根回し、金のバラ…

鈴木宗男「反乱」

反乱鈴木 宗男 ぶんか社 2004-04-26売り上げランキング : 190720おすすめ平均 好きになった鈴木氏の言い分鈴木宗男が鈴木宗男を語る。Amazonで詳しく見る by G-Tools 鈴木宗男は演説の天才だ、と思っている。 これまで数度、彼の選挙演説を真近で聞いている…