佐藤優・田中森一「正義の正体」
正義の正体 | |
田中 森一 集英社 2008-03-26 売り上げランキング : 3294 おすすめ平均 純粋に楽しめる対談本 一気に読んでしまいました 外務省と東京地検の異端児が語る組織事情と国策捜査 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「怪談」の中にこういう短編があります。
死刑になる直前の囚人がいた。冤罪を訴え続けている。奉行所を恨み「最後の一念で復讐してやる」と言うが、奉行は「オレはそんなものは信じない、もしあるなら伐られた首でそこにある飛び石に噛み付いてみろ」そして実際に首は噛み付いた。奉行所の中で噂になるが、当の奉行は言い放つ。「これは最後の一念の恐ろしさというものを知っている。だからその一念を石に噛み付くという行為に転換した。最後の一念を無事やり遂げてそれで成仏したから問題ない(55p)
→ 攻撃対象を巧みにそらす。高等な政治戦略でもあり、スケープゴートそのものだ。
…これまで「戦後日本は治安維持法がないから、政治犯罪はない」と思っていたのがまったくの誤りだったということです。考えてみれば、政治犯罪というのはいつの時代にも、どの国にもあるものなんですよね。でも日本では、政治犯罪や治安犯罪という形で取り上げることができないから、経済事件に一度無理やり転換するんですよ。…そういう意味では国策捜査は昔から行われてきたことだとは思うんだけれど、最近、僕や田中さんのケースにしても…無理な形での国策捜査が行われるようになった。それは新自由主義の台頭とすごく関係していると思うんです。(佐藤優、72p)
→ 政治犯罪は日本にはないと見えるが、実は経済事件に転換させる形で事実上存在するという指摘は鋭い分析だ。
(私の本書の評価★★★☆☆)
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