飯島愛「プラトニック・セックス」

プラトニック・セックス
4093792070飯島 愛

小学館 2000-10
売り上げランキング : 236,472

おすすめ平均
star勇気と、挑戦と
star18禁
star最後の両親とのエピソードは感動的!

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 以前、旅先の古本屋でたまたま見つけて、なんとなく開いたら、なかなかどっこい面白かったのでつい買ってしまった本。この本を読むまで、わたしの飯島愛氏のイメージはいまいちだった。有名AV女優ということだけテレビに露出し、毒舌ぶってるが大して芸もないのに…と。しかしこの本を読んで明らかに彼女に対するイメージは変わった。
 「どうせ…だから」と社会を醒めた眼で見続けてきたがゆえに、変に片意地張って無理をしているところがない。このニヒリズムで彼女は、騙しが横行しているAV業界の荒波を乗り切ってきたのだ。「嫌になったら辞めればいい」のお気楽スタンスで、撮影現場での監督陣からの要求も(時には不当な要求も)、嫌だったらはっきり突っぱねる。こちらの要求はズバズバ言う。スタッフから「わがままが過ぎる」と注意されても気にしない。良い意味でも悪い意味でも、自然体を貫いている。
 しかしその一方で、愛情に飢え、溺れてしまう、ひどく衝動的な飯島氏の姿がある。本書で紹介されている恋人との交換日記の内容を見ると、鬼気迫るほどの愛情への欲求を感じる。相手を求め、そして相手に依存する。別れのときはその欠落感で何もできなくなる。撮影もテレビ出演もすべてキャンセルし、家に引きこもる。もちろん、マズローの欲求階層論を引くまでもなく、誰しも愛への欲求は持っているのだろう。恋人との別れはつらいものだ。だがどれほどの人が飯島氏ほど激しく求め、そして欠乏感にさいなまれているだろうか。
 この愛情への過剰な動機付けは、本書の前半部で語られているように、青春期に両親から十分な愛情が与えられなかったことが起因していると考えられる。親子愛への欠乏感を、必死になってボーイフレンドからの愛情で埋め合わせようとしているように見える。だがこの飯島氏の心象も、本書の末尾で語られている両親との和解によって徐々に変化してくるのであろう。
プラトニック・セックス
(私の本書の評価★★☆☆☆)

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