太宰治「人間失格」
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「恥の多い生涯を送って来ました」
この衝撃の冒頭(第一の手記)からはじまる太宰の自伝的な本。太宰の半生の出来事をベースにして、多少脚色して作品化している。心が繊細で、やさしさに溢れているがゆえに、自己主張せず流されるままに生きる主人公の姿は、一方では、太宰が必死に自己を正当化しようとあがいているようにも見える。「こんなに繊細で優しい子だったからこうしか生きられなかったのだよ、僕は」「ボクが悪いんじゃない、社会が悪いんだ」と、やや甘えた雰囲気さえ醸し出している。
必死に自己弁護しなければどうしようもない段階まで、太宰の精神は追い詰められていたのであろう。太宰はこの作品を書き終えたあと、愛人と入水自殺した。
友人Uと本作品について話したとき、彼が「太宰は弱くて甘えてると批判することもできるが、でもそんな弱さを理解できる人間ではありつづけたい」と言った。Uの優しさは十分分かるのだが、やはりわたしは、太宰の女々しさにはどうしてもついていけない。
(私の本書の評価★☆☆☆☆)
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