次のステージへの挑戦(千利休の「守・破・離」)

 今日、仕事の山場を乗り越えた。
 今日のためにこの1ヶ月の間、残業・土日出勤のオンパレードの中で準備してきた。それをついにクリアーできたのである。充実感は確かにある。 
 あまり具体的に書けないのが残念だが、わたしの仕事の世界では、今日の業務をこなせたら一人前と言われている。えっ、何のことだか分からない。うーん、具体的に書けないのが苦しい。いずれにせよ、わたしの仕事の世界では、今日の業務をこなせれば、この業界の仕事を一通りこなすことができるようになったと認められる。今日の業務は、そんなシンボル的な業務だった。周囲に聞けば、それを一人でこなすにはおおよそ10年以上は必要といわれているが、わたしはこの仕事について4年でそれをやり遂げることができた。疲れからか、この一週間は頭痛を覚えながらの作業となったが、なんとか終えることができた。もちろん100点満点の出来ではなく、不満な部分、満足な部分と細かく見ていけばあるが、結果としてクリアーできたことに今は満足している。
 さて次だ。
 茶道の始祖の千利休は、技の修得には「守・破・離」という道筋があると言った。要約すると、守=形を忠実に守る(初心=形から入る)、破=応用ができる、つまり形を破る(達人=風格が現れる)、そして離=形を離れ独自の境地をつくる(名人=道を究める)。そしてこの独自の境地では、守ってきた形が新たな形として受け継がれていく*1
 今の自分の仕事にたとえると、わたしもそろそろ「破」のステージに突入するべき時期がきたと考えている。いや、というよりも、「破」のステージにそろそろ突入しなければならない。今日の業務をやり遂げたことで、守=形を忠実に守るのステージは大枠ではやり終えたと言ってもよかろう。次は形を破って応用するステージだ。
 今年度中にその布石をいくつか打つ予定だ。アイデアだけは溢れている。その中で、現実可能性を見極め、有効な手立てを打つ必要がある。その先には、技術者として「離」の境地、プロフェッショナルの世界が待っているはずだ。休むことなく修行しなければいけない。わたしの内的欲求がそれを求め、常に突き動かす。ゆとりがないという人もいるが、それでも良い。わたしは走り続けるしかない。

*1:佃正壽,2003年:8p、たくみへの道、オークヴィレッジ通信No.290