山崎豊子「沈まぬ太陽 御巣鷹山篇」

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇山崎 豊子

新潮社 2001-12
売り上げランキング : 2,506

おすすめ平均 star
star御巣鷹山事故を忘れないために
star考えさせられました
starテーマは重いが、読み疲れることはない!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
 1985年(昭和60)8月12日午後7時前、その事故は起きた。日本航空123便墜落事故日航ジャンボ機墜落事故ともいう)。
 東京発の大阪行の日本航空123便ボーイング747SR100型機が、32分の迷走飛行の末、群馬県多野郡上野村の山中に墜落したのである。搭乗員524名中520名が死亡、生存者は女性4名のみという、単独機としては世界航空史上最悪の事故となった。歌手の坂本九、女優の北原遥子は犠牲者のなかの一人であった。タレントの明石家さんまは、搭乗する便を123便より一本早くしたため、奇跡的に助かった。
 この事故のときはわたしはまだ小学生だったが、テレビに映し出された事故現場の風景は、いまだに脳裏に焼きついている。テレビの報道番組で繰り返し報じられるニュースを見ながら、子供ながらに、大変なことになった、という刻印があったのだろう。
 本書には、日本航空123便ボーイングの離陸から衝突までの過程が細かく記載されている。機長がコックピットで発していた言葉が胸を突き、心をゆさぶる(3巻125-128p)。
 「失速するぞ、ほんとうに」
 「これは、だめかもわからんね」
 「おい、山だ、コントロールとれ、右」
 「山にぶつかるぞ」
 「あー、だめだ」
 「あーっ」
 衝撃音

 本書には、衝突までの記録と、凄絶な墜落現場、肉親の遺体を探し求める遺族、補償交渉の非情な現実が描かれている。主人公のはずの恩地氏は、3巻ではサブとして扱われている。
 最後に墜落死を覚悟した乗客(父親)が、激しく揺れる機内で家族にしたためた遺書を紹介する(3巻125-128p)。

・・・どうか仲良く がんばって ママをたすけて下さい
パパは本当 に残念だ きっと助かるまい 原因は分らない 今5分たった
もう飛行機 には乗りたくない どうか神様 たすけて下さい
きのうみんなと 食事したのは 最後とは 
何か機内で爆発したような形で 煙が出て降下しだした どこえどうなるのか ・・・・
ママ こんな事 になるとは残念だ さようなら 子供達の事 をよろしくたのむ
今6時半だ 飛行機は まわりながら 急速に降下中だ 
本当に今迄は幸せな 人生だった と感謝している

><

(私の本書の評価★★★★☆)
よかったら投票してください→人気blogランキング