真田広之 桜井幸子「高校教師」を見なおす
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真田広之 桜井幸子 峰岸徹 ポニーキャニオン 2001-09-19 売り上げランキング : 7,593 おすすめ平均 僕のために泣いてくれた 脚本家野島伸司の存在を決定づけた不朽の名作 完璧な名作 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
まず野島の感性についてだが、第6話「別れのバレンタイン」のスクリーンの光を利用して羽村(真田広之)と繭(桜井幸子)がキスするシーンや、第8話「隠された絆」の図書館で繭が手作り人形をつかって恋物語を演じるシーン、また第11話「永遠の眠りの中で」で羽村のアパートで羽村と繭が赤い糸をつなぎながら寝るシーンなどは、野島の女性的な感性を強く感じるシーンである。20歳を過ぎた男はこういうシーンをイメージすることすらできないだろう。わたしはできない。これをイメージして脚本化してしまうところが野島の才能であり、女性にモテる所以であろう。事実、野島伸司は、酒井法子や深田恭子などの美人女優を次々に口説いたという。うらやましい。
また改めて本作品を見てみると、ストーリーの随所に非常に細かい仕掛けが施されていることに気づく。「助けて」と書いたカードが羽村の下駄箱に入っているシーンが物語の前半から幾度も挿入されているが、それは後半での繭の近親相姦の事実、そしてエンディングへつながっていく重要な伏線になっている。また第5話「衝撃の一夜」で羽村と繭が結ばれるシーンでは、結ばれるときに壊れていた羽村の時計が突然動き出す、みたいな心憎い演出がしてある。また先ほど紹介した第8話「隠された絆」で繭が作った人形は、その後羽村の手に渡り、彼が繭への思いを深めていくシンボルとして使われていく。このように、ストーリーの随所に細かい仕掛けがしてあり、それが登場人物の心境を少しずつ変えていったり、ストーリーの展開を自然に見せるための伏線になっていたりする。ほんとうに見事すぎる脚本だ。
建築家のミース・ファンデルローエは、「神は細部に宿る(God is in the details)」と言ったが、野島の脚本を丁寧にみるとその細部のすばらしさに感動すら覚える。
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