古謝美佐子「天架ける橋」
天架ける橋 | |
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古謝さんのソロライブを見に行ったことがある。
わたしがまだ学生だった1999年冬、沖縄音楽好きの探検部の仲間とともに、古謝さんのソロライブに行った。札幌はもう雪がちらつく頃で、冷え込んでいたのを記憶している。「あの」古謝さんのライブなのに、こじんまりとしたホールで、100人も観客がいないという贅沢極まりないライブだった。
必要最小限のバックバンドを従えて、古謝さんはボーカル重視の音作りでライブをはじめた。古謝さんの明るい人柄そのままの楽しいライブで、あっという間に時間が過ぎた。そして最後の曲が、このアルバムにも入っている「童神(わらびかみ)」という曲だった。静かな、泣きギターの前奏から、古謝さんはゆっくりと歌いだした。
天(てぃん)からの恵み 受きてぃ此(く)ぬ世界(しげ)に
生まりたる産子(なくぐわ) 我身(わみ)ぬむい育てぃ
古謝さんの声の美しさ、この曲のメロディの美しさに、思わず涙が出そうになった。
メロディは確かに悲しげなのだが、目をつぶりじっくり聞いていると、そこには喜びと、優しさが溢れているのが分かる。不思議な気分になった。自分の心の奥底にガラスのようにキラキラとひかる清流が流れ出し、心が洗われるようだった。歌詞を素直に聞けば、生まれたばかりの子どもを親が愛しむ曲に思えるが、実は、この曲は43歳にして初孫を授かった古謝さんが、孫を想い作った曲だという。
泣くなよーや ヘイヨーヘイヨー 太陽(てぃだ)の光 受けて
ゆういりよーや ヘイヨーヘイヨー 健やかに育て
わたしはこの曲に溢れている優しさに、ただただ圧倒され、そしてどうしようもなく感動してしまったのである。
補遺
古謝さんはライブの時に「アンケートに住所を書いてくれた人には必ず手紙を出します」といったが、芸能人がよくするリップサービスだろうと思っていた。しかし後日、古謝さん直筆の手紙が本当にうちに届いた。一期一会をたいせつにする古謝さんの人柄を感じる手紙だった。
(私の評価★★★★☆)
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