ザ・ビートルズ「RUBBER SOUL(ラバー・ソウル)」

ラバー・ソウル
B00005GL0Pザ・ビートルズ

東芝EMI 1998-03-11
売り上げランキング : 2,688

おすすめ平均 star
star中期のビートルズの名盤
starJOHNとPAULの力が一番融合しているアルバム!
starライブ活動中止を予感させた。

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 ビートルズの作品全体から見ると、中期に発売された本アルバムと前作の「Help!」は、ビートルズ音楽の画期をなす作品であろう。初期の頃の「ストレートなロック」+「キャッチーなラブ・ソング」路線からの脱皮が、ここではっきりと形になって表れたのである。今までのビート主体の音楽が影をひそめ、”イン・マイ・ライフ”ではバロック調のピアノが取り入れられ、”ノルウェイの森”ではインドの楽器シタールをつかったりと幅広い音楽が取り入れられるようになった。
2. Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
 ジョン・レノンの作品。素朴なメロディに、ジョージの弾くシタール(インドの弦楽器)の神秘的な音が効果的に挿入されている。この曲は、Norwegian Woodというタイトルの訳をめぐって議論が戦わされている作品でもある。通常Norwegian Woodは「ノルウェイの森」と訳されているが、woodという言葉に着目して、これは誤訳であり、正確には「ノルウェイ製の家具」だという説がある。しかし私は、かつて「ノルウェイの森」というベストセラー本を書いた村上春樹氏が紹介した説が面白いと思う。つまり、そもそも最初のタイトルは「Knowing she would」で、歌詞部「Isn't it good Nowegian Wood」は「Isn't it good knowing she would(彼女がやらせてくれるって分かってるのは素敵だよな)」だった。しかしアンモラルな歌詞にレコード会社がクレームをつけ、ジョンは即席で「Nowegian Wood」とタイトルと歌詞を変え、レコード会社を煙に巻いた*1。もしこれが本当なら、ジョンのひらめきって何てカッコ良いんだろう。
4. Nowhere Man
 ジョン・レノンの作品。コーラスが美しくテンポの良いので、私のお気に入りの曲だ。しかし明るい曲調とは裏腹に、歌詞は自分探し的な深刻なものだ。
「なにをどう考えるということもなく 自分がどこへ行くのかも分からない」
 ジョンが誇大妄想症を煩い、LSDやマリファナに深く依存していた頃の自分について描いている。
7. Michelle
 ポール・マッカートニーのバラード作品の最高傑作。当時としては非常に凝ったコード進行で構成された曲だ。昔わたしがアコースティックギターに熱中していた頃、この曲に何度も挑戦したがうまく弾けないので結局諦めた。本作ではポールは自らアコースティックギターを弾き、テクニカルなギターさばきでこなしている。ポールはビートルズではベースを主に担当しているのだが、この曲のギターの音を聴くと、「ポールは本当にどの楽器でもうまくこなすなぁ」と感心させられる。
 曲のメロディは非常に洗練されており、ビートルズ音楽を芸術の域まで高めた象徴的な作品である。ポールの作曲家としての能力の高さ、底の深さが否が応でも分かる。間違いなく、ポールのバラード作品の最高傑作とわたしは思う。
11. In My Life
 ジョン・レノンの作品。ジョンが故郷リバプールのペニー・レーンに思いを託して書いた作品。間奏のバロック風のピアノの音が、印象的で好きだ。メロディの美しさに加えて、ジョンの作詞能力もこの頃から磨きがかかる。
「心に刻まれたいくつかの場所がある たとえ姿を変えても決して忘れない
 良くも悪くも永遠に変らない場所  今はもうない場所  昔のままに残る場所」
 ベット・ミドラーもこの曲をカバーし、テンポを落としバラード風にきれいにまとめており、こちらもお勧め。
グレイテスト・ヒッツ
B00005HDR6ベット・ミドラー

おすすめ平均
stars彼女の才能に脱帽
starsTVドラマ「天国への階段」の挿入歌をようやく見つけた
starsいろんなものがギュッと凝縮された1枚
stars生き方を考えさせられます
stars大きく優しい名曲たち

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(私の評価★★★★☆)
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*1:村上春樹,1994年:85p,木を見て森を見ず――「ノルウェイの森」の謎,ニュー・ルーディーズ・クラブVol.3,シンコー・ミュージック