ザ・ビートルズ「Abbey Road(アビイ・ロード)」

アビイ・ロード
B00005GL0Uザ・ビートルズ

東芝EMI 1998-03-11
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 ビートルズ解散直前に作られたアルバムだが、素晴らしい内容になっている。いくつかの曲でジョンが不参加だったりして解散の予兆も見受けられるが*1ポール・マッカートニージョージ・マーティンの奮闘によって名盤に仕上がった。特に後半の「You Never Give Me Your Money」から「The end」までのメドレーは圧巻である。
 発売ベースで考えると"Let It Be"が「ビートルズ最後のアルバム」であるが、録音ベースで考えると、"Abbey Road"こそが「ビートルズ最後のアルバム」である。
1. Come Together
 ジョン・レノンの作品。サウンドのかなめは、ベースとドラム。有名なヒット曲だが、個人的にはあまり好きな雰囲気の曲ではない。このバージョンよりも、マイケル・ジャクソンがカバーしたバージョンの方が、躍動感があり数倍良かったように思う。詩の内容もボブ・ディランの影響が色濃いが、ディランに比べると物足りない。余談だが、アルバムの解説書によると、エンディングでジョージが出しているギターの音は、ビートルズ・ナンバーで最も高いギター音だという。
5. Octopus's Garden
 リンゴ・スターの曲。ビートルズ時代にはリンゴは2曲しかオリジナル曲を作っていないが、その中の1曲がこれ。目立たない曲だが、個人的には明るい曲調で気に入っている。ほのぼのとしたリンゴの人柄が分かる曲でもある。しかし歌詞の内容は曲調とは異なり、ビートルズが嫌になって逃げ出したくなった心境を歌っている。実際、ホワイト・アルバムの制作に行き詰まり、グループを一時的に抜け出した時に書いた曲だという。「海の底へ行きたいな タコさんの庭でひっそりと暮らしたい」という歌詞がその心境を物語っている。
7. Here Comes The Sun
 ジョージ・ハリスンの最高傑作ナンバー。美しいギターメロディは、「明るい陽が差し込んできた」という希望に満ちた歌詞とマッチして、聴く者を幸せな気持ちにしてくれる。ギターのアルペジオも美しい響きになるように練りに練られており、正真正銘、ジョージの最高傑作ナンバーといえる。ビートルズ解散後、アメリカの人気番組「Saturday Night Live」に出演したジョージ・ハリスンが、ポール・サイモンサイモン&ガーファンクル)と2人でこの曲を演奏したが、この演奏も素晴らしかった。
9. You Never Give Me Your Money
 ポール・マッカートニーの作品。ピアノの弾き語りに始まって、ホンキー・トンク調、さらにはロックン・ロールへと展開し、ポールのヴォーカル・スタイルも変っていく。当時メンバーが運営していた会社の財政状況の悪化を嘆いた曲だが、「You Never Give Me Your Money(君はオレに金をよこさない)」という俗な歌詞をこれほど美しいメロディに乗せて名曲にしてしまうところは、やはりポールは天才だ。
14. Golden Slumbers、15. Carry That Weight、16. The End
本アルバムで最もお気に入りのメドレーだ。ポール・マッカートニーの作品。Golden Slumbersは、ピアノの美しいメロディからポール・マッカートニーが悲しげな声で歌いはじめる。
「かつて 道があった   懐かしい故郷へとつづく道が
 かつて 道があった   懐かしい家へとつづく道が
 おやすみ 愛しい人よ  泣いてはいけない
 わたしが子守唄を歌ってあげよう」
 あたかも、解散寸前のビートルズのメンバーに、優しく語りかけるかのような歌詞だ。ポールなりのビートルズへの郷愁がうかがえる。この曲からCarry That Weightでポールは、「きみはその重荷を背負っていくんだ  これからの長い人生 ずっと…」と歌い、ビートルズに決別宣言をしている。世界最高のポップバンドがここに終わりを告げたのである。

(私の評価★★★★☆)
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*1:Here Comes The Sun,Golden Slumbersではジョン・レノンは収録に参加していない。