城山三郎「官僚たちの夏」

官僚たちの夏
城山 三郎

新潮社 1980-11
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 次官への最短コースを歩むエリート通産官僚の風越信吾の物語。時代は、高度経済成長まっただ中の1960年代初頭。風越は部下の論文に触発され、日本経済の一大改革をめざし、フランス仕込みの協調経済方式導入を画策する。しかし、政治家や産業界の思惑や足の引っ張り合い、マスコミとの軋轢の中で、ついにこの一大画策は挫折する。その後、次官に上り詰めた風越だったが、寵愛していた部下の死などを経て、思い半ばで退官する。
 この物語の主人公は、元通産省次官の佐橋滋をモデルにしている。著者の城山三郎は、佐橋を取材し、かなり事実に忠実に本作品を書いたらしい。
 最近、官僚や霞ヶ関はすっかり評判が悪くなってしまったが、本作品には、私たちの知らない高度成長期の、霞ヶ関官僚たちの血の踊る熱い闘いが生き生きと描かれている。
官僚たちの夏
(私の本書の評価★★★★☆)

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