中原中也詩集

中原中也詩集
中原 中也 大岡 昇平

岩波書店 1981-01
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生きることの哀しさ

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1.作品概要(「BOOK」データベース)

 愛する者よ、無垢なる日々よ―。生と死のあわいを漂いながら、失われて二度とかえらぬものへの、あふれる惜別の想いを、ノスタルジックにうたい続けた、夭折の天才詩人、中也。哀切で甘美なことばが、胸をうつ調べとなって響きあい、はかない余韻が心に沁みる2冊の詩集『山羊の歌』『在りし日の歌』に、詩集として編まれなかった作品も併せた140篇の詩篇を収録*1

2.作品評

子供っぽい中也と美しい言葉の響き
「今では女房子供持ち 思えば遠く来たもんだ 此の先まだまだ何時までか 生きてゆくのであろうけど」(頑是ない歌)
 この「頑是ない歌」は、12歳の冬に汽笛の音を聞いて、あれから何年もたって今では子供までいるが、なんだか自分に自信が持てなくて、そうは言っても頑張っちゃう自分が愛おしく、なんとかやるよりしかたがないなぁ、という内容の歌だ。大人になってもくよくよ悩んで、それでも自己愛は強くて、だから頑張ろうという子どもっぽい歌だ。女々しいというか、なよなよしている中也の性格が良く出ている。しかし内容はともかく、言葉の響きが美しい詩である。
「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる 汚れつちまつた悲しみは たとへば狐の皮衣 汚れつちまつた悲しみは 小雪のかかつてちじこまる」(汚れつちまつた悲しみに…)
 確か、中学校の教科書に載っていて、暗唱して覚えた歌だ。今読んでも、言葉の美しさは色あせてない。もの悲しい詩。最後に、特段に理由があるわけではないけど、雰囲気が好きな詩を。
「幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました … ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」(サーカス)
中原中也詩集(私の本書の評価★★★☆☆)

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*1:中原中也(1907〜1937):山口県生れ、31歳で死去。