手塚治虫「アドルフに告ぐ (1〜5)」

アドルフに告ぐ (1)
手塚 治虫

講談社 1996-06
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1. 作品概要(AMAZONビュー)

ベルリンオリンピックの時代から、第二次世界大戦終結までを描く、手塚治虫氏の力作。
この漫画は、三人のアドルフと、語り部「峠草平」によって語られる。一人のアドルフは、神戸でパン屋を営む、アドルフ・カミル。一人のアドルフは、同じく神戸の軍人の息子、アドルフ・カウフマン。一人のアドルフは、ユダヤ人撲滅を唱えた狂気の軍人、アドルフ・ヒットラー。そして、語り部峠は、日本の新聞記者。
この物語は、峠草平が「ヒットラー出生文書」を手に入れることから始まる。しかしそれが原因で峠はナチスゲシュタポ、日本の特高警察から追われることとなる。

2. 作品評

 1巻の巻頭で手塚は、この物語は3人のアドルフの物語であるの述べているが、内容的に見れば次の4人の人生物語である。峠草平、最後に峠の妻になるカウフマンの妻・由季江、アドルフ・カミル、アドルフ・カウフマン。ストーリーは1936年(昭和11年)に始まり、第2次世界大戦の渦中で、「ヒットラーの祖父はユダヤ人」という極秘文書の奪い合いを軸に4人の人生が交差する。4人の描かれ方は、日本に生まれたがヒットラーユーゲントの学校に入って人格を変えてしまうアドルフ・カウフマンは悪役、あとは善玉という描かれ方だ。
 戦争という乱世の中で、4人の人生が奇妙に、不思議に交差する「人生の妙」というものが、この本の最大の魅力であろう。
 私が小学生の時に、父がみやげで買ってきてくれた思い出の本だ。内容が面白いので、もう10回は読んでいる本だと思う。
(評価★★★★★)

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